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昨日、里の墓に行った。4月2日、陽子の命日。
何ヶ月ぶりだろう、里の雪はもう解けていた。温暖化のなせる業。
黄砂でもやる穏やかな日で、太陽は黄砂の中でぼんやりと輝いていた。
今年の冬は雪国の人にとっては、最高の自然の贈り物だった。
でもそれは、来る未来に深刻な影響を及ばすカオスの贈り物でもある。
墓に着いてまず花を添えた。そして線香の代わりにタバコを立てた。
しばらく手を合わせ祈った。そして後ろの愛犬の墓に手を合わせた。
それから母方の墓に行き花を添えた。以前ここで母方の叔父さんに私は諭された。
風は温かく、鳥のさえずりが心地言い。いつも墓の前では心が穏やかになる。
例の如くウグイスが鳴いていた。いつの時期に行ってもウグイスは鳴いてくれる。
しばらくして、私は墓の前の地面にじかに座った。私は問いたかった。
静かに墓を見つめ、心を澄ませてみた。何も感じなく、透き通ったような感覚。
心の中に何も響いてこない。周りをゆっくり見回した。風で草木がそっと揺れている。
何故だろう?心の中は静かになっていて、何も入ってこない。
以前と自分が変わってしまったのだろうか?能力が無くなったのか??
少し心配になり、目を瞑り手の平を上に向け、意識を受け入れようとした。
風が静かに髪にそよぐ。鳥は同じように遠くでさえずっている。意思は消え静かな時間。
ふと心の中に言葉が来る。妻の声ではない。父でもない。優しい男の声だった。
「無になりなさい。」私ははっと目を開けた。墓の前で私は心で問い正した。
「無になる?あらゆる物から囚われをはずしなさい?と言う意味?」
そう自分の心が言った。最近は色んな事で心が囚われていた。
いつも自分で言っているのに、自分が形に囚われていた。全てが理解できた。
何故、この場所で何も感じる事が出来なかったのか?自分が囚われ求めていたから。
何故、静かだったのか?「無」になると言う事を誰かが教えていたのだから。
何故、ウグイスの事も忘れていた自分がいたか?全ては無だから。
今一瞬の出来事に囚われる苦しみは、充分体験してきた自分が今また囚われていた。
人を支配しようと思った時に苦しみが生まれ出る。なら支配しなければいい。
支配出来ない物を支配しようとする事が、苦しみじゃないのか?
そこに気が付いた。墓での出来事はそれを私に教えてくれる体験だった。
私の力は何も衰えていない。だからこそ、気づきを教えてくれる。
気付かなければそこに行く事もなく、行っても何も得る事がなかった。
私は常に気づきの中で生きてゆくだろう。。
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