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餌のあれこれ

 投稿者:kaz  投稿日:2015年 7月 5日(日)17時04分30秒
  通報 編集済
  もう海野さんの「世界のカマキリ観察図鑑」は購入されたでしょうか。ページをめくるたびにワクワクするような本ですね。種の多様性とは、かくも素晴らしいものなのか。初見の写真で数点の誤りはありましたが、近日中にブログ内で訂正されるでしょう。どちらにしろ、多くの種を紹介された功績に比べれば些末なことです。きっとこの本が、カマキリを愛する皆さんの気持ちを盛り上げ、そして新たな方々を引き込むきっかけにもなるでしょう。読んでいて、そんな1冊だなと感じました。カマキリ好きの海野さんが愛を込めて出された本だからこそ、写真の1枚1枚のカマキリ達が、生き生きと写っています。まだ手にしていない方にもオススメです。

>名無しさん、

はじめまして。管理人です。
当方にお尋ねされる方のご相談内容で最も多いのが、この拒食です。件の記事をホームページ上に公開したのはもう10年近く前(正確な日付は覚えておりませんが)ですが、今も昔も飼育者の抱える悩みは変わらないということですね。拒食の原因は輸送のストレスや極端な低温、飼育環境の不衛生さ、狭さ…など色々ありますが、拒食している個体の体内で共通して起こっているのは「消化能力の著しい低下」です。
一方、一般的にカマキリは脱皮後1日以内には餌を摂りません。これは単純に、体が固まっておらず捕食がままならないためです。言わば単なる「安静期」であり、これは私が指すところの「拒食」には当たりません。ですから、対策をとるべき拒食とは違い、脱皮後の安静期の個体は餌を摂るようになるまで待つのが妥当です。むしろ、そうした個体には無理やり餌を与えるべきではないでしょう。
脱皮から十分な日数が経過している、腹部は膨らんでいない、それなのに餌を摂らない…こうした現象を拒食と捉え、この場合には対策を講じて下さい。

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さて、今回のご質問は脱皮後の安静期の個体のことでしたので拒食ではありませんでしたが、拒食のご相談が多いのは事実です。そして、拒食に通じる問題が嘔吐でもあります。嘔吐や拒食は、いずれも消化不良による場合がほとんどです。たまに、「コオロギを与えていたらカマキリが嘔吐するようになった。腹部が急にパンパンに腫れ、死んだ。」などというご相談を受けます。嘔吐はともかく、腹部が急にパンパンに膨らむのは消化不良の末期症状であり、そうなったカマキリは助かりません。数日以内に必ず死ぬので、諦めて下さい。
カマキリにガやチョウなどの鱗翅目昆虫だけを与えていると、消化不良を起こすことはありません。一方、コオロギやゴキブリを餌とすると消化不良が起こるかというと、これも必ずしも正しくはありません。普通は鱗翅目昆虫の安定供給は容易ではないでしょうし、コオロギが最も手に入り易く、栄養的にも優れた餌であることは今も変わりません。ですから、コオロギを使うことは大前提であり、問題になってくるのは「どのように用いるか」なのです。
出荷されたばかりのコオロギは最高の状態にあり、餌として最適です。しかし、これを一般家庭で長い期間維持した後にカマキリに与えると、カマキリが消化不良を起こすことがあります。どういうことか。一般家庭は基本的にコオロギを維持する環境としての条件を満たしていないのです。イエコオロギは30℃以上の高温を好むそうなので、今の季節の気温や室温(せいぜい25℃程度)では低すぎるのです。コオロギの健康を保つためにちゃんと30℃以上の温度を確保している飼育者が、いったいどれだけいるでしょうか。お手元のコオロギは、老いた成虫でもないのにチラホラ死んだりしていませんか?餌を与える頻度が低く、緩衝剤や隠れ家にしている紙を食べたりしていませんか?そうした劣悪な状態にあるコオロギをカマキリに与えれば、それはカマキリにも良くありませんよ、もちろん。かくいう私も、コオロギに好適な温度条件を用意してはいません。しかし、消化不良の原因になるような状態のコオロギはカマキリに与えていません。どう飼育したって、餌屋さんが増殖室でコオロギを維持されているような最高の条件に勝るはずがないのです。ですから、私はコオロギは生鮮品と割り切っています。コオロギのうち、生餌として用いるものは購入して1週間以内に全て使い切り、それ以外のものは購入直後に冷凍保存し、カマキリに与えるときに順次解凍して用いています。こうするようになって、当方では(餌を原因とした)消化不良がほとんど起こらなくなりました。餌の種類よりも、餌の管理状態が問題であり、結局は飼育者の責任ということです。

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[画像]
相変わらず携帯電話で撮った手抜きの画像ですが。手元では色々と生まれ、育っております。

1枚目
ご存知、ゴーストマンティスです。この個体は当方で9世代目にあたります。この世代が幼虫であった頃は色々と余裕がなく、世話がおろそかになりました。そのせいで随分成長は遅れましたが、特にそれを感じさせない大きさに育ち一安心です。

2枚目
そして、先日からはゴーストの10世代目が孵化してきています。相変わらず安定しています。

本種は私の知る限り、少なくとも2004-2005年頃からずっと1系統のみが維持されています。世界中で出回っている本種は、いわば全て遠縁の親戚にあたるわけです。その当時、既に「mixed stock」の扱いでしたから、元々複数の系統だったものが統合されたか、産地不明となっていました。現在でも「タンザニア産」や「ケニア産」と産地が書かれて流通することがありますが、累代品であればそうした産地の表記に大した意味はありません。
既に飼育下で多くの世代を経ている本種ですが、いつ消えてしまっても不思議ではありません。世界中で出回っているなるべく多くの個体を繁殖親として用い、なるべく多くの子孫をとり、そこからまたなるべく多くの繁殖親を用意する…こうした繰り返しが肝要です。
そういえば、私が2001年頃に飼っていた本種は、今維持しているものと同系統の由来だったのだろうか。今となっては解りませんが、本種が市場のカマキリ類のなかでは特筆すべき知名度と安定性を誇っているのは確かです。これからも大切にしていきたいものです。
 
 
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